
巡 愛
第3章 もう一度……
私はカンナさんのページに登録してあるもうひとつのブログを開いてみた。
「“ビアンカ”って、これ……」
そこは彼女がブログサイトを覗くようになったきっかけの、行きつけの美容室のブログだった。
この家から車で10分ほどの場所にあり、妻が使っているシャンプーボトルにあった美容室の名前と同じだったのだ。
「カンナさん」に愛されていながら、それにまるで振り向きもしなかった夫とは、私のことだったのか……
携帯を手に持ったまま、静かに妻の寝ている寝室の扉をほんの少し開けてみると、鼻をすする音が聞こえ、妻の見ている携帯の青白い光が彼女の震える肩を静かに照らしていた。
