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無題

第4章 変化(前編)

シャワーを借りてから
部屋に戻ると
雅樹はベットと机の間の
白いミニソファーで
録画していたらしい
ドラマを見ていたが、
郁也の気配に
ゆるり
と視線を向けてきた。

郁也がベットに腰かけると、
雅樹が郁也の膝に
ゆったり
もたれ掛かってきた。

ドラマが終わるまで
郁也も雅樹も一言も発しなかったが、
ドラマが終わりニュースになると、
テレビがら視線を背けて
雅樹は少し上にある郁也の顔を見上げてきた。

郁也の膝にじゃれつくように擦り寄る。

「くすぐったい」

「…」

「どうしたの?」

「…」

無言で擦り寄る雅樹のつむじを見ながら

もしかして
寂しがってるのだろうか
と思案する。

「…寂しい?」

ピタリ
と動きを止めた雅樹が
ゆっくり
と顔を上げた。

全ての感情を混ぜて
圧し殺したような
無表情が
無垢で
寂しそうに見えた。

暫く見つめ合っていると、
筋肉を動かさずに
口だけが
静かに開いた。

「…別に…寂しくは、無い」

「本当?」

「…」

再び無言になる雅樹を
引き寄せて
膝に向い合わせで
座らせる。

ちょっと驚いたように
郁也を見つめてくる。

雅樹の頭を引き寄せて淡いキスをした。

角度を変えて
何度も
キスする内に
雅樹が
焦れったそうに
しがみついてきた。

頬が
ほのかに色づき
キスの合間に
小さく息を吐きながら
郁也を
柔らかく
受け止める。

郁也は唇から
徐々に離して
首筋に
キスして
軽く噛んだ。

ビクッ
と反応したのが
可愛くて
同じところを
何度も
吸って
噛むと、
雅樹は
ビクンッビクン
と震えた。

「や…だ、ぁ」

「これ?」

郁也が意地悪く
首筋に
舌を這わせると
雅樹は嫌だ
と小さく頭を振って
抵抗した。

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