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無題

第4章 変化(前編)

急な外階段を上がり
部屋に入った
瞬間に
くるり
と振り返った雅樹に
郁也は抱きつかれた。

ふわりと香る雅樹の匂いは
甘くて
少し
ドキッとする。

郁也より若干低めの雅樹が
甘えるように
胸元に頭を擦り付けてくる。

郁也は雅樹の頭を撫でながら
雅樹が動くまでの
数秒
玄関でぼんやりと
立ち尽くした。

少しして
上目遣いで見上げてきた
雅樹の顎を掴んで
キスをした。

しばらく雅樹の舌を堪能して、
体勢を崩す
ギリギリのところで止めて
雅樹の腰を引寄せる。

甘い息を漏らす雅樹の唇は
しっとりと潤い、
頬は色づいていた。

瞳はトロリと郁也を見つめて潤んでいた。

「…合コン前に誘惑されるなんて思わなかった」

「…別に…」

名残惜しそうに
ゆっくりと視線を外すと、
また顔を埋めて
抱きついてきた。

郁也は雅樹の髪を優しく撫でる。

「そんなに甘えて…雅樹君は、俺にどうしてほしいの?」

パッ
と見上げてきた雅樹に
微笑んで
触れるだけの
キスをする。

しばらく動かずに
沈黙して髪を撫でていると、
満足したのか
諦めたのかはわからないが
靴を脱いで部屋の中に入っていった。

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