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身代わりH

第18章 *自分で?

荒い息を整えるあたしの側から、スッとお兄ちゃんが離れていく。




……っ…!



…また…この瞬間が来た。




さっきまでと裏腹な切なさがあたしの胸を締め付ける。




お兄ちゃんは身なりを整えると入口近くへ歩いて行き、何かを拾った。




…そっか…ジャージ…返しに来たんだっけ…。




あたしはそんなことを思いつつ、そろそろと教卓から降りた。




…もう…いいから…早く一人にして…。




あたしは泣きたい気分でお兄ちゃんに背を向けブラウスのボタンをひとつひとつしめていく。




背後でお兄ちゃんの足音が聞こえ、自然と涙が滲んできた。




もう何も聞きたくない…だってもうすぐ…お兄ちゃんが扉を開けて出ていく音が聞こえるはずだから。

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