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変人を好きになりました

第23章 共犯者の正体

 笑いながら考えた。
 これで今まで通りの日が戻ってくる。

 今まで通りじゃないこともある。例えば黒滝さんと両想いだったことを意識して暮らしていくし、由佳の気持ちも。これからも秘書として働ける限りは働くつもりだし。
 なんだかどっと疲れた。疲れたけれど、何も知らなかった前よりも随分幸せだ。

 私を生んですぐ亡くなったお母さんも、中学生の頃に亡くなった大好きだったおばあちゃんも、数年前病気に蝕まれてお母さんの元へ逝ってしまったお父さんも。今はいない。もう会うことはないし、どんなに会いたいと願っても会えない。これからも家族を想っては泣いてしまったり、落ち込みふさぎ込むことがあると思う。
 それでも。どんなにぼろぼろになったって振り返ってばっかりではいけないのだ。

 由佳や黒滝さん、空良くんみたいに自分のしたことを後悔し、そしてその後悔を塗り替えるように前に進もうとしている人たちが私の周りにはいるのだと思うと頑張れる気がした。

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