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変人を好きになりました

第23章 共犯者の正体

「古都」

 由佳が思い切ったように真剣な声を出す。
 私は首を傾けた。
「あんなことして本当にごめんなさい。謝って許してもらえるなんて思ってないけど、私償えるなら何でもするから」

 宿谷さんと同じことを言っている。確かに由佳のせいで黒滝さんが辛い思いをした。
 私も空良くんも。里香さんもそうだろう。
「友達でいてくれるんでしょ。それで許してあげる。でもね、もう盗撮なんてやめてね? 次したら口きいてあげないからね」
 由佳がキツネにつままれたような顔をした。それから私に飛びついてきた。
「うわっ」と情けない声を出してしまう。

 黒滝さんと空良くんが思わず由佳を引きはがそうと動こうとしている。
「わかった。もう、しないよ。あんなことしなければあの馬鹿が古都に怪我をさせたりすることにはならなかったのに……。古都が怪我したって聞いたときは本当に私……」
「じゃあ、あれは里香さんが勝手にしたことで由佳は何も?」
「当たり前じゃない。どこに好きな人を危ない目に遭わせる馬鹿がいるの? 私が、あの場にいたら何としてでも古都を守ったのに……本当にごめんね。私があの女をそそのかせるようなことしなければ」
 男二人が縮こまった。

「そうね。由佳がいたら私のこと本当に守ってくれたかもね」
 少し意地悪がしてみたくなって言うと空良くんが変なうめき声を出した。
 黒滝さんも咳払いをする。
「嘘ですよ。私が勝手に飛び込んでいったようなものだもん。防ぎようがなかったわ。とにかく、いいの。そのことは。でも、由佳もう盗撮は絶対禁止よ」

 雰囲気を和ませようと思って頬を膨らませて見せると由佳も目尻を下げた。
「じゃあ、今度は堂々とお風呂で堪能しようかしら」
「へっ!?」
「俺もそうしようかなー」
「だめだ。次は警察に突き出す」
 4人がそれぞれの反応をとったから私たちは互いに顔を見合わせて笑ってしまった。

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