
変人を好きになりました
第18章 本当の故郷
驚いて何度か左目の瞬きを繰り返すとその姿はすうっと消えて行った。
「どうした」
「……なんか今。いえ、なんでもないです。今の時期でカキって冷凍ものしかないですけどいいですか?」
クロタキさんは問題ないと言うように両手をひらひらさせた。
「空良くん、帰ってこないですね」
私が四苦八苦しながら作り上げた料理をクロタキさんはひたすらかきこむ。美味しくできたかどうか気になって聞きたかったのに、私が聞く前にクロタキさんは「いつもの古都さんの味だ。美味しいよ」と言ってくれて安心した。
「研究所で泊るらしい」
「いつ連絡とったんですか?」
私が聞くとクロタキさんがコロッケを口にためながらポケットから携帯を出して見せた。
クロタキさんがメールするなんてなんか面白い。
「僕だってメールくらいする」
「うわっ」
「古都さんの考えていることは分かりやすい」
そう言ってまた咀嚼に専念するクロタキさんを私は片眉を吊り上げて見つめた。
「空良くん、大丈夫かなあ」
独り言のように呟くと今度はクロタキさんが怪訝そうな顔をした。
「気になるのか?」
「そりゃ、まあ」
「空良は……」
口にあるものを全て呑み込んで、決意したように口を開いたのにその口を閉じてしまう。
「なんですか?」
「やっぱりいい」
「え? 空良くんが何ですか?」
重工な家具に囲まれた部屋に沈黙が訪れる。
「まだ証拠があるわけじゃないから、何も言えない。推測だけだ」
クロタキさんは呟くとさっさと食事を再開した。
証拠とか推測とか、何かに関して空良くんを疑っているのが分かる。空良くんが何をしたというのだろう。
気になったけれど、クロタキさんの静かながらに強い口調からするともうなにも教えてくれないだろう。
「どうした」
「……なんか今。いえ、なんでもないです。今の時期でカキって冷凍ものしかないですけどいいですか?」
クロタキさんは問題ないと言うように両手をひらひらさせた。
「空良くん、帰ってこないですね」
私が四苦八苦しながら作り上げた料理をクロタキさんはひたすらかきこむ。美味しくできたかどうか気になって聞きたかったのに、私が聞く前にクロタキさんは「いつもの古都さんの味だ。美味しいよ」と言ってくれて安心した。
「研究所で泊るらしい」
「いつ連絡とったんですか?」
私が聞くとクロタキさんがコロッケを口にためながらポケットから携帯を出して見せた。
クロタキさんがメールするなんてなんか面白い。
「僕だってメールくらいする」
「うわっ」
「古都さんの考えていることは分かりやすい」
そう言ってまた咀嚼に専念するクロタキさんを私は片眉を吊り上げて見つめた。
「空良くん、大丈夫かなあ」
独り言のように呟くと今度はクロタキさんが怪訝そうな顔をした。
「気になるのか?」
「そりゃ、まあ」
「空良は……」
口にあるものを全て呑み込んで、決意したように口を開いたのにその口を閉じてしまう。
「なんですか?」
「やっぱりいい」
「え? 空良くんが何ですか?」
重工な家具に囲まれた部屋に沈黙が訪れる。
「まだ証拠があるわけじゃないから、何も言えない。推測だけだ」
クロタキさんは呟くとさっさと食事を再開した。
証拠とか推測とか、何かに関して空良くんを疑っているのが分かる。空良くんが何をしたというのだろう。
気になったけれど、クロタキさんの静かながらに強い口調からするともうなにも教えてくれないだろう。
