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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い

「一体、何があったのですか?」
 キョンシルの問いに、馬執事は沈痛な面持ちで応えた。
「旦那さまがお倒れになりました。主治医によれば、何でも軽い卒中の発作を起こされているとのことです」
「―」
 キョンシルは言葉を失った。卒中は現代でいう脳梗塞である。
「それで、ご容態は?」
 矢継ぎ早の質問にも馬執事は嫌な顔一つせず、丁重に応える。
「幸いにも発作が軽かったので、今のところは小康状態を保っておられますが、次に発作が起これば、最悪の場合も覚悟した方が良いと」

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