
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い
そんな祖父を残して、キョンシルは漢陽を離れたのだ。祖父のことは口には出さなかったけれど、ずっと気になってはいた。
父を赤児の頃に失い、去年は母までをも失った。最早、自分は天涯孤独だと思い込んでいた矢先、意外にも血の繋がった祖父が生きていると知った時、どれだけ嬉しかったことか。キョンシルにとって、祖父はたった一人の身内と呼べる人だ。しかも、父と母に罪はないとはいえ、二人が駆け落ち同然に所帯を持ったことで、イルチェは最愛の息子という跡継ぎを失った。
長い年月を失意と孤独の中で生きてきた祖父、そんな祖父に対して自分ができることがあるとすれば、何なりとしようとも考えている。
父を赤児の頃に失い、去年は母までをも失った。最早、自分は天涯孤独だと思い込んでいた矢先、意外にも血の繋がった祖父が生きていると知った時、どれだけ嬉しかったことか。キョンシルにとって、祖父はたった一人の身内と呼べる人だ。しかも、父と母に罪はないとはいえ、二人が駆け落ち同然に所帯を持ったことで、イルチェは最愛の息子という跡継ぎを失った。
長い年月を失意と孤独の中で生きてきた祖父、そんな祖父に対して自分ができることがあるとすれば、何なりとしようとも考えている。
