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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第3章 旅立ち

「ソンニョ、年頃の娘というのは、なかなか難しいものだな。俺はいきなり十五の娘を持つ親父になってしまったゆえ、これから親とは何たるかを急いで学ばねばならんようだ」
 そこでトスはひとたび言葉を区切り、新たな線香に火を点した。
「だが、心配はしないでくれ。俺たちの娘のことは俺が守る」
 俺たちの娘―、その俺たちというのがそも何を示すのかは判った。
 母は死んでもなお、トスの心を独り占めしている。キョンシルが心の片隅がまたチクリとかすかに痛んだ。

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