
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第3章 旅立ち
トスへの恋心をうまく封じ込めるかについては依然として自信はないけれど、今は何より、トスの気持ちが嬉しかったし、一人になりたくなかった。母を失った直後のあの底なしの絶望に突き落とされたような想いは二度と味わいたくない。
「俺もキョンシルも、都を離れて互いにじっくり考えてみれば、自ずとこれから歩む道が見えてくるだろう。そのときから、互いの道をそれぞれ歩き始めても遅くはない。新しい道が見つかるまでは、協力し合って生きてゆこうではないか」
「―うん」
キョンシルは少し甘えたように頷き、トスは端正な面に苦笑を滲ませつつも、大きな手のひらでキョンシルの髪をくしゃっと撫でた。
「俺もキョンシルも、都を離れて互いにじっくり考えてみれば、自ずとこれから歩む道が見えてくるだろう。そのときから、互いの道をそれぞれ歩き始めても遅くはない。新しい道が見つかるまでは、協力し合って生きてゆこうではないか」
「―うん」
キョンシルは少し甘えたように頷き、トスは端正な面に苦笑を滲ませつつも、大きな手のひらでキョンシルの髪をくしゃっと撫でた。
