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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第3章 旅立ち

 ややあって、キョンシルは背を伸ばしてトスを見た。
「おじさんは迷惑ではないの?」
「―迷惑?」
 トスが意外なことを聞くとでも言いたげに眉根を寄せる。
「私を連れてゆけば、確実に旅の足手まといになるわ。それでも、おじさんは構わないの?」
 一語、一語、はっきりと言う。
 トスは破顔した。
「俺はそなたの親代わりだ。親が我が子を連れて旅するのを迷惑だと思うはずがないだろう」
 そのひと言は、キョンシルの心に滲みた。自分はこの広い世界で一人ぼっちではない。
 母を失って以来、心からそう思えた瞬間であった。

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