
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第3章 旅立ち
しかし、トスと二人だけで旅を続けるというのは、始終、彼と一緒にいるということになる。そんな状態が続いて、トスへの恋情を抑え込んでおけるかどうか。キョンシルには殆ど自信がない。
これまでは、たまに母に逢いにくるトスと貌を合わせる程度だから、何とかごまかせた。でも、勘の鋭い彼のことだ、ずっと行動を共にしていれば、いつかそう遠くない将来、キョンシルの気持ちに気づくかもしれない。
真実を知れば、彼はきっとキョンシルを蔑み、汚いものでも見るような眼で見るだろう。それだけは絶対にいやだ。
キョンシルは両膝を抱え、その上に顎を乗せた。そんな彼女をトスは黙って見つめている。重大な選択だけに、決断には時間が必要だと思っているのだろう。
これまでは、たまに母に逢いにくるトスと貌を合わせる程度だから、何とかごまかせた。でも、勘の鋭い彼のことだ、ずっと行動を共にしていれば、いつかそう遠くない将来、キョンシルの気持ちに気づくかもしれない。
真実を知れば、彼はきっとキョンシルを蔑み、汚いものでも見るような眼で見るだろう。それだけは絶対にいやだ。
キョンシルは両膝を抱え、その上に顎を乗せた。そんな彼女をトスは黙って見つめている。重大な選択だけに、決断には時間が必要だと思っているのだろう。
