
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
声とともに、鳥籠から鳥が放たれた。神の御遣いを思わせる白き鳥は籠から飛び出ると、迷うことなく翼をひろげ、蒼穹へと舞い上がってゆく。
やがて、白い影は小さくなり、秋空の深い蒼に飲み込まれた。
「ソン、大丈夫なの? 清国の皇帝陛下から贈られた大切な鳥なんではないの?」
キョンシルが呆気に取られていると、ソンは愉快げに笑った。
「そなたの可愛らしい顔を涙で曇らせたくはないからな。清国の皇帝には何とでも言い訳はつくさ。あの雪見鳥の生命を救うには、この方法しかなかった。ゆえに、逃がしたんだよ」
やがて、白い影は小さくなり、秋空の深い蒼に飲み込まれた。
「ソン、大丈夫なの? 清国の皇帝陛下から贈られた大切な鳥なんではないの?」
キョンシルが呆気に取られていると、ソンは愉快げに笑った。
「そなたの可愛らしい顔を涙で曇らせたくはないからな。清国の皇帝には何とでも言い訳はつくさ。あの雪見鳥の生命を救うには、この方法しかなかった。ゆえに、逃がしたんだよ」
