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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

 小鳥の無残な死から二日間、王のキョンシの許へのお渡りはなかった。三日目の朝、ソンが先触れもなく、突如としてキョンシルの室を訪れた。
 キョンシルの淹れた石榴茶をいつものようにゆっくりと刻をかけて味わった後、ソンが訊ねた。
「雪見鳥はどうしている? 相変わらず餌を食べないのか?」
 つがいの片割れを失って以来、雄は餌を食べなくなった。この分では、直に雌の後を追うことになるだろうと、臨尚宮を初め女官一同も案じている。
「すっかり元気がなくなってしまって。このままでは、あの子もすぐに死んでしまうのではないかと思うと、心配で堪らない」

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