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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

「鳥が死んだのか?」
 キョンシルは力なく頷いた。他の妃たちの妬心も露わな嫌がらせで消沈していた時、この鳥たちにはどれほど心慰められたかしれない。それが、こんな呆気ない死に方をしてしまうなんて、信じられなかった。
「信じられないわ。昨日の夜までは、あんなに元気だったのに」
 キョンシルが涙声で言うのに、ソンが抑揚のない声で言った。
「この死に様は、ただごとではない。恐らくは毒を盛られたに違いないな」
「毒?」
 確かに、妙な死に方ではあった。真っ白な小鳥の体に無数の紫の斑点が浮き出ている。
「臨尚宮をこれへ」
 ソンが固い声音で言った。

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