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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

 鳥籠は比較的日当たりの良い窓辺に卓を置き、そこにのせていることが多い。王から賜った大切な鳥ゆえ、女官総出で世話している。
「どうしたのかしら」
 独り言めいて言いながら鳥籠に近寄ったキョンシルは愕然とした。
「これは―」
 魂が抜けたように、その場にくずおれた。
 鳥籠の中では、つがいの片方の雄が哀しげに啼いていた。一方の雌は力尽きたように片隅に転がっている。確かめなくとも、死んでいるのは確かだ。
「いかがした?」
 異変に気づいたのか、ソンが起きてきた。背後から鳥籠を覗き込み、流石に息を呑んでいる。

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