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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「殿下、どうかなさいましたか?」
 少し離れた場所から黄内官が訊ねてきた。
「いや、何でもない」
「もしかして淑媛さまに嫌われてしまいましたか?」
「おい、余計なことを申すな」
 ソンが憮然として言うと、黄内官は笑顔になった。
「女も獲物も追いかければ、怯えて逃げるものですよ」
「キョンシルは狩りの獲物などではない。無礼なことを言うでない」
「確かに。畏れながら、殿下がここまで一人の女人にお心を傾けられた様を初めて拝見するもので、つい要らざることを申し上げました」

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