
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に
常でなく大きいが、この辺りでは結構知られている。芸人一座に属して、口から火を噴く芸を最も得意とするため、その二つ名で呼ばれていた。確かに、若者の言うとおり、つるっとした禿頭は蛸入道といえないこともない。
「ソマニが聞いたら、また怒り出しそうね」
キョンシルは笑い、手を差し出した。
「私も若さまと同じですよ。若さまの言い分の方が正しいのに、一方的にソマニにやられているのを見たら、何というか、血が騒いで収まりがつかなくなって。気がついたら、夢中で飛び出してました」
「血が騒ぐか―。あのソマニという男の言い分ではないが、確かに面白い女だな、そなたは」
「ソマニが聞いたら、また怒り出しそうね」
キョンシルは笑い、手を差し出した。
「私も若さまと同じですよ。若さまの言い分の方が正しいのに、一方的にソマニにやられているのを見たら、何というか、血が騒いで収まりがつかなくなって。気がついたら、夢中で飛び出してました」
「血が騒ぐか―。あのソマニという男の言い分ではないが、確かに面白い女だな、そなたは」
