
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
「少なくとも、ご自身はそのように受け止められておいでです」
キョンシルは女に縋るような眼を向けた。
「お願いです。教えて、トスおじさんに昔、何があったんですか?」
「―あれは、すべてが不幸な事故でした」
女は遠い瞳で語り始めた。
「当時、私は十八歳、トスさまは十五歳でした」
歳こそ違っても、父親同士が無二の親友でもあったことから、トスと女―シヨンは幼い頃から共に遊んだ間柄であった。そして、今ひとり、トスの友人であるチョンスを交えて三人はいつどこに行くのも一緒だった。
トスは三つ上の美しいシヨンを姉のように無邪気に慕っていたが、チョンスの方は違っていた。彼はシヨンに男としての関心と恋情を寄せていたのだ。
キョンシルは女に縋るような眼を向けた。
「お願いです。教えて、トスおじさんに昔、何があったんですか?」
「―あれは、すべてが不幸な事故でした」
女は遠い瞳で語り始めた。
「当時、私は十八歳、トスさまは十五歳でした」
歳こそ違っても、父親同士が無二の親友でもあったことから、トスと女―シヨンは幼い頃から共に遊んだ間柄であった。そして、今ひとり、トスの友人であるチョンスを交えて三人はいつどこに行くのも一緒だった。
トスは三つ上の美しいシヨンを姉のように無邪気に慕っていたが、チョンスの方は違っていた。彼はシヨンに男としての関心と恋情を寄せていたのだ。
