
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
「不思議でしょう。若さまがお作りになった仏像は皆どれも泣いているようなお顔をしているのです。あれは、きっと、御仏を作った若さま自身が心で泣いていらっしゃるからだと私はいつも思っておりますの」
だが、トスとこの女の拘わり、トスの彫る仏、この二つの話に接点があるのだろうか。
疑惑が顔に出ていたのか、女が薄く笑んだ。
「若さまは恐らく、数え切れないほどの仏を作られたでしょう。そうやって、あの方はご自身が背負われたものと向き合ってこられたのですから」
「背負ったもの―、それはどういうことですか? トスおじさんが何かの罪を犯したと?」
だが、トスとこの女の拘わり、トスの彫る仏、この二つの話に接点があるのだろうか。
疑惑が顔に出ていたのか、女が薄く笑んだ。
「若さまは恐らく、数え切れないほどの仏を作られたでしょう。そうやって、あの方はご自身が背負われたものと向き合ってこられたのですから」
「背負ったもの―、それはどういうことですか? トスおじさんが何かの罪を犯したと?」
