
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
女はしばらく黙考していたが、やがて、そのまなざしがふっと遠くなった。
「キョンシルさんは、若(ソバ)さま(ニム)が彫った御仏を見たことはありますか?」
キョンシルは、女がトスを初めて〝ソバニム〟と呼んだことに衝撃を受けていた。一体、この二人はどういう関係なのだろう。
「キョンシルさん?」
訝しむように問われ、キョンシルは狼狽えた。
「えっ、ええ。見たことはありますけど」
母ミヨンに贈るはずだった簪と共に貰った小さな木彫りの仏像―、今もキョンシルの懐におさまっている。
「キョンシルさんは、若(ソバ)さま(ニム)が彫った御仏を見たことはありますか?」
キョンシルは、女がトスを初めて〝ソバニム〟と呼んだことに衝撃を受けていた。一体、この二人はどういう関係なのだろう。
「キョンシルさん?」
訝しむように問われ、キョンシルは狼狽えた。
「えっ、ええ。見たことはありますけど」
母ミヨンに贈るはずだった簪と共に貰った小さな木彫りの仏像―、今もキョンシルの懐におさまっている。
