
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
「はい? 何かご用でしょうか」
キョンシルが振り向くと、女性が頭から外套を取った。ほっそりとした小柄な立ち姿は、紛れもなく、昨夜トスと密会していた女であった。
あまりのことに何も言えないでいるキョンシルに、女は弱々しく微笑みかけた。
「もしや、あなたはキョンシルさんではありませんか?」
「何故、私の名をご存じなんですか?」
キョンシルは警戒感も露わに訊ねる。女は困ったように微笑む。本当にたおやかな、それでいて、どこか力強さを秘めた不思議な魅力を持つ女人である。
キョンシルが振り向くと、女性が頭から外套を取った。ほっそりとした小柄な立ち姿は、紛れもなく、昨夜トスと密会していた女であった。
あまりのことに何も言えないでいるキョンシルに、女は弱々しく微笑みかけた。
「もしや、あなたはキョンシルさんではありませんか?」
「何故、私の名をご存じなんですか?」
キョンシルは警戒感も露わに訊ねる。女は困ったように微笑む。本当にたおやかな、それでいて、どこか力強さを秘めた不思議な魅力を持つ女人である。
