
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実
ああ、そうか、そういうことだったのか。抱き合う二人の姿を見ている中に、すとんと心に落ちてきた想いは図らずも彼女自身を納得させてくれた。
トスには故郷に恋人がいたのだ。いや、一時は母と結婚するつもりだったのだから、元恋人だった女と言い換えた方が良いかもしれない。母ミヨンは死んだ。もう、トスを縛り付けているものは―キョンシル以外には何もない。キョンシルさえいなくなれば、トスは大手を振って昔の恋人と寄りを戻せるだろう。
―私ったら、一人で大騒ぎして。馬鹿みたい。
あまりの情けなさに、涙よりも笑いが込み上げてきた。恋心を打ち明けるも何も、それ以前から、トスの心はもうキョンシルの側にはなかった。トスは昔の恋人に再会して、キョンシルが邪魔になった。だから、キョンシルを嫁に出そうと決めたのだ。
トスには故郷に恋人がいたのだ。いや、一時は母と結婚するつもりだったのだから、元恋人だった女と言い換えた方が良いかもしれない。母ミヨンは死んだ。もう、トスを縛り付けているものは―キョンシル以外には何もない。キョンシルさえいなくなれば、トスは大手を振って昔の恋人と寄りを戻せるだろう。
―私ったら、一人で大騒ぎして。馬鹿みたい。
あまりの情けなさに、涙よりも笑いが込み上げてきた。恋心を打ち明けるも何も、それ以前から、トスの心はもうキョンシルの側にはなかった。トスは昔の恋人に再会して、キョンシルが邪魔になった。だから、キョンシルを嫁に出そうと決めたのだ。
