
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実
私がずっとそんな気持ちを抱いていたから、お母さんが亡くなってしまったのかもしれないって、何度考えたか判らないもの」
トスは身じろぎもしなかった。ただ涙声で語るキョンシルの悲痛な叫びだけが聞こえている。
痛いような静寂が続いた。
トスは立ちあがると、黙って室を出ていった。キョンシルには扉の閉まる音が彼の完全な拒絶に思えた。
しばらく待っても、トスは帰ってこなかった。今度こそ、徹底的に嫌われてしまったのだ。それでも、キョンシルはひと言謝りたいと思った。明日の朝には、ここを出ていくつもりだったけれど、せめて、その前に今までの礼と今夜の詫びを伝えたかった。
キョンシルはしばらく壁にもたれ座り茫然と宙に視線を遊ばせていたが、やがて、立てた膝を胸に引き寄せた。
トスは身じろぎもしなかった。ただ涙声で語るキョンシルの悲痛な叫びだけが聞こえている。
痛いような静寂が続いた。
トスは立ちあがると、黙って室を出ていった。キョンシルには扉の閉まる音が彼の完全な拒絶に思えた。
しばらく待っても、トスは帰ってこなかった。今度こそ、徹底的に嫌われてしまったのだ。それでも、キョンシルはひと言謝りたいと思った。明日の朝には、ここを出ていくつもりだったけれど、せめて、その前に今までの礼と今夜の詫びを伝えたかった。
キョンシルはしばらく壁にもたれ座り茫然と宙に視線を遊ばせていたが、やがて、立てた膝を胸に引き寄せた。
