
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第3章 旅立ち
母は漢陽一と歌われた美貌を誇る佳人であった。その母と自分が似ているとは到底思えないのだけれど、他人はキョンシルを母によく似ていると言う。
ゆえに、たった今、トスは自分を母と見間違えたのかもしれない。キョンシルとしてはあまり嬉しくはないが、何しろ、月も出てはいない闇夜である。最愛の恋人を失った痛手も癒えぬトスが自分をミヨンと間違えてしまったとしても仕方ないだろう。
キョンシルは一人で結論づけた。
「トスおじさんに話しておいた方が良いと思うの」
キョンシルは袖から小さな薄桃色の巾着を取り出し、逆さにした。例の翡翠の首飾りが落ちてくる。
ゆえに、たった今、トスは自分を母と見間違えたのかもしれない。キョンシルとしてはあまり嬉しくはないが、何しろ、月も出てはいない闇夜である。最愛の恋人を失った痛手も癒えぬトスが自分をミヨンと間違えてしまったとしても仕方ないだろう。
キョンシルは一人で結論づけた。
「トスおじさんに話しておいた方が良いと思うの」
キョンシルは袖から小さな薄桃色の巾着を取り出し、逆さにした。例の翡翠の首飾りが落ちてくる。
