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第8章 過去と現在



数分後。
拓哉の腕の中で落ち着きを取り戻したユキは、再びぼんやりと三日月を見上げた。



「ねぇ、拓哉…」

「ん…?」

「欠けていく月ってね…消し去る力があるんだって、知ってた?」

「…いや…」



窓に映るユキの瞳は、どこか遠い目をしている。



「…その月の光を映した水で顔を洗うと、そばかすが消えるんだって…」

「…」

「それなら……」



そこまで言いかけて、ユキは口を噤んだ。





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