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第8章 過去と現在


「ユ…」

「…ごめん、ありがと。もう、寝るね…」



俯いたままユキは拓哉から離れる。



「…ああ、おやすみ…」



拓哉は心配そうな眼差しで、ユキの背中を見つめた。



今、何を言おうとしたのか…
なんとなくわかりつつも、声をかけることはしなかった。



ユキは、ボーダーだ。
感情の起伏が激しく、見捨てられる不安や恐怖心が強い。
堕ちることはしょっちゅうだった。
だが、次の日には必ず立ち直ることが多かった。



だからきっと明日も…
笑顔で自分たちの前で唄ってくれると、拓哉は信じて疑わなかった…。





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