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第8章 過去と現在



ユキの頬を涙が伝う。



「ユキ…」


「おれ…怖いよ……たく…やっ…」



ユキは顔を歪ませながら、カーテンの裾を握りしめる。



「大丈夫…大丈夫だから。お前のそばには俺がいるから」



拓哉は震えるユキの身体を、背後から抱きしめた。



「大丈夫…」



そう繰り返し囁きながら、抱きしめる腕に力を込める。
ユキは声を押し殺しながら肩を震わせ、拓哉の腕に必死にしがみついた。




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