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第8章 過去と現在



「ああ、いいよ。ここはお前の居場所だから」



拓哉は優しく言い放つ。
もうこの質問は何度目だろう…
不安定になると必ずユキは、自分の存在を確かめるように聞いてくる。



「…おれ、ね…」

「…」



ユキの声が震える。
拓哉はユキの頭を優しく撫でる。



「おれ…唄える居場所があれば、それで…それでいいんだよ…」



ユキは言葉を詰まらせながら、弱々しく答えた。





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