
359°
第7章 芽生えた感情と嫉妬
それを察してか、高藤さんがフッと笑う。
「…しょうがないな。じゃあ、お風呂から出たら少しやろうか?」
「やった」
オレがすぐに笑顔になると、高藤さんはクスクスと笑った。
そして棚の引き出しから何かを持ってくる。
「この部屋の合い鍵、持ってて」
「えっ…」
「明日朝早いんだ。だから、卓也くんの好きな時間に帰っていいから」
そう言って高藤さんは、オレの右手に合い鍵を握らせた。
「ギター弾きたかったら、いつでも来ていいからね。あ、連絡だけは入れてね?」
「ありがとう…ございます…」
オレはギュッと合い鍵を握り締めた。
