テキストサイズ

359°

第7章 芽生えた感情と嫉妬


「じゃあ、お風呂の準備してくるから」



そう言って高藤さんは、また奥に消えて行く。オレはハァッと息を吐き、ソファーにもたれかかった。



「いつでも来ていいんだ…」



胸がドキドキする。



「あ、そうだ。家に連絡しとかねぇと」



後でうるさいからな。
オレは親に電話しながら、棚に入ったCDを眺めた。



あ、デュランのCD!
あ…これ、オレ持ってねぇ!



電話を切ると、すぐさまそれを手に取った。
2、3枚取り出すと、ジャケットのないCDが目についた。
なんとなく、それを手に取ってみる。



「あ…」



CDの表面に小さく《幸》と書かれていた。
ドクン、と心臓が脈打つ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ