小中大テキストサイズ

神籬の内

第1章 荷物


「申し訳ない。ちょっとどうでもいいところにチャンネルがあったようで」

  おどけて云うと一瞬目を開き、すぐに柔らかな笑みを浮かべる姿に。見た目女性みたいな顔立ちなのに、自分と変わらないほどの長身が、どうあっても男というアンバランスにも見える不思議な感想を持つ。男に促されるように部屋へ入った。

「お話はどの程度お聞きになりましたか?」

 晃の前に麦茶をそっと置いく。あまりまじまじと相手を見るのも失礼かと思ったが、どこかでなにかで彼をみた気がする。それを思い出そうとしていると難しい顔をしていたのか。同じ質問を重ねて問われた。

「お話は、どこまでお聞きになりましたか?」
「荷物を運んでほしいということ。一週間かけて依頼者の元に運ぶこと。前金に3万、後払いで10万と聞きましたが……本当にそんなに頂けるのですか?」

 不思議そうに問い掛けた。

「ええ、もちろんです。これは長時間の拘束。また距離に対してのガソリン代や昼食代などのこともありますし。お願いを必ず聞いて頂けたいという気持ちも含めた代金なのですよ」

 柔らかな低音で耳障りのいい声が、言葉をゆっくりと紡ぐ。

「? お願い事……ですか?」
「車で荷物を運んでいただきたいのです」
「…………」
「お願いは――」

 運んで欲しいものは《箱》であること。倉の中に全部で42個あり。
一、間を置かずに七日かけて運んでほしい。
一、その際使う車は絶対に他で使わないこと。
一、箱には素手で触れないこと。
 謝礼は七日拘束する分、勉強するので必ずこの約束事を守ってほしいこと。10万ほどの謝礼を渡すと約束。手付き金を先に三万渡される。全て運搬後残りを銀行振り込みで支払うので、終了後には七日間全て、こちらに寄る必要はないことを伝えられた。

 一日、七つを七日。

「その約束に何か意味があるんですか?」
「意味……、ですか。そうですね。一つ目、間を置かずに運んで欲しいのは、七日以上の日をかけらないこと。また七個ずつ、七日に分けて運んで欲しいのです。二つ目、これは必ず遵守してください。他に使うと途切れてしまいますから。三つ目、これは箱が薬品を塗っているためですね。かぶれてしまうと申しわけないので。最後は先ほども言ったように諸々の諸経費を含んでいます。完了後三日以内に指定の銀行に振り込ませて頂きます」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ