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神籬の内

第1章 荷物

 春には咲くという朱い桜の樹も、今は静かに揺れる秋を感じていた。
 少し歩くと堂がひとつ。そこの扉を住職が開けると、この中に箱を納めて欲しいと言われ、その通りにすべてを運びこむ。

「うへぇ……」

 本能で吐き出す言葉に嘘はない。堂の扉を閉ざした住職が、晃の前にスッと立った。

「背中をこちらに…」
「あ、はい」

 素直にくるっと背中を向ける。数珠で背中を軽く撫でられた。
 何か言ったのか。聞き取ることが出来なかったが、振り返った晃に住職は笑顔を向けた。

「それでは明日もよろしくお願いします。七日間の内、一日目お疲れ様でした」

 駐車スペースまで見送りに出てきた住職に一礼し、車に乗り込み発進させる。肩の荷が下りた気楽さで、そのまま車で帰宅をしたのだった。

 ――七日間、これは始まりの物語であった。

 すべての荷物を同じ場所へ晃は映す。帰りに車の重さに引いたし、恐怖もしたが三日もすればそういうものだという慣れが出来た。
 最終日も終わり、言われていた日にちに銀行口座を見る。きちんと支払い済になっていて、キツネやタヌキに化かされた訳ではないんだと、ホッとして約束していた友人である玲児と向き合い、七日の不思議体験を話す。大きな眼鏡を上げながら、まっすぐに晃を見て呟いた。

「そんなところに家なんて……ましてや、西洋風で蔵まであるなんて俺知らないけど」
「え?」

 いやいや、それはさすがに気のせいだろう。晃はドクンドクンと怯えた心音を沈めるべく、古都町へ車を走らせる。まっすぐ進んで、ここを曲がってどんつきに――七日間通っていた場所へ向かい、そして……辿りついた。
 依頼人の家があった場所に広がるのは、ただの空地がただただ無駄に広がっていた。

「ッ!!!」

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