
神籬の内
第1章 荷物
慌てて車を路肩に寄せて止める。何か大きな生き物が車体に乗ったのだろうかと、車を出てみたが、そこには何も存在しない。どこも凹んでいない。目には映らない神籬市の日常に大きくため息をついた。
それでも心音がどくどくと音を立てている。理由が何かあるのかと、想い出そうとしても何も思い出せない。しかし確かに車が重くなっている。それはずっと変わらない。
「マジで怖いんですけど!!!とっとと仕事終わらせてかえって酒を飲むぅー」
スピードをあげたくても、車体が重くて。ペダルが重い。げんなりとする気持ちがある分、正気を持ち続けたまま目的地が見えてきた。
駐車場に到着すると、すぐにゆったりとした足取りで歩いてくる住職がいる。きっとこの住職が町内会長の子息から聞いた受け取り人という存在なのだろう。車のエンジンを完全に止めて、降りると住職がニコニコと近寄って、その片手には折り畳み式のリアカーがあった。
「こんにちは、町内会長の息子さんから頼まれて箱を持ってきました。……一応、俺が全行程することになっているのですが……正直触りたくない気持ちもあります」
素直に云う。
「すいませんね……よろしくお願いします」
「いえ……」
万感の乱れる感情を呑み込む。なにも聞こえて無かったとばかりにニコニコしながら、リアカーを広げる。その姿に何を言っても無駄と諦めて軍手をはめた。
リアカーに乗せる為に箱を持ち上げる。その瞬間、朝運んだ時とは違う。ズシッと重さが伝わった。――やはり重い。びっくりして手を離したい衝動に囚われた。
「重っ! ナニコレ⁉」
箱を落としかけたが、運び屋としても動いているプライドで、ぐっと手に力が入れて押しとどめる。無事にリアカーに七箱を詰めた。
「……こちらへ」
リアカーを案内するのに、住職が先だって歩き出す。言葉は特に交わすこともなく、先を急いだ。こっちとしてもこんな不気味な箱はとっとと運び終えてしまいたかったので足早に続く。
「…………こんなところに道があるんですね」
不思議な気持ちで歩いていく。途中にルートが幾つか細かく分かれているのは、神域までの参道や御神木の森。神籬神社や、天狗の森、奇跡の滝へと繋がっている。もちろん普段から信仰心などほぼ無いに等しいので、初めて足を踏み入れた感想として、ひたすら不思議な空気を感じた。
それでも心音がどくどくと音を立てている。理由が何かあるのかと、想い出そうとしても何も思い出せない。しかし確かに車が重くなっている。それはずっと変わらない。
「マジで怖いんですけど!!!とっとと仕事終わらせてかえって酒を飲むぅー」
スピードをあげたくても、車体が重くて。ペダルが重い。げんなりとする気持ちがある分、正気を持ち続けたまま目的地が見えてきた。
駐車場に到着すると、すぐにゆったりとした足取りで歩いてくる住職がいる。きっとこの住職が町内会長の子息から聞いた受け取り人という存在なのだろう。車のエンジンを完全に止めて、降りると住職がニコニコと近寄って、その片手には折り畳み式のリアカーがあった。
「こんにちは、町内会長の息子さんから頼まれて箱を持ってきました。……一応、俺が全行程することになっているのですが……正直触りたくない気持ちもあります」
素直に云う。
「すいませんね……よろしくお願いします」
「いえ……」
万感の乱れる感情を呑み込む。なにも聞こえて無かったとばかりにニコニコしながら、リアカーを広げる。その姿に何を言っても無駄と諦めて軍手をはめた。
リアカーに乗せる為に箱を持ち上げる。その瞬間、朝運んだ時とは違う。ズシッと重さが伝わった。――やはり重い。びっくりして手を離したい衝動に囚われた。
「重っ! ナニコレ⁉」
箱を落としかけたが、運び屋としても動いているプライドで、ぐっと手に力が入れて押しとどめる。無事にリアカーに七箱を詰めた。
「……こちらへ」
リアカーを案内するのに、住職が先だって歩き出す。言葉は特に交わすこともなく、先を急いだ。こっちとしてもこんな不気味な箱はとっとと運び終えてしまいたかったので足早に続く。
「…………こんなところに道があるんですね」
不思議な気持ちで歩いていく。途中にルートが幾つか細かく分かれているのは、神域までの参道や御神木の森。神籬神社や、天狗の森、奇跡の滝へと繋がっている。もちろん普段から信仰心などほぼ無いに等しいので、初めて足を踏み入れた感想として、ひたすら不思議な空気を感じた。

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