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燕尾服は似合わない

第2章 究極

「…これは、一体どう言う状況で…。」

 ゆっくりと視線を巡らせる。
 
壁には歴代の頭たちの写真が額縁に入れられ、丁寧に飾られている。
 ここはたぶん学長室。
 つまり、ジジイの部屋だ。
 
執事に軽々と担ぎ上げられた俺は、されるがままにここへ連れてこられ、椅子に座らされた。

 手足には冷たく光る金属の手錠が嵌められ、
 微動だに出来ないほど頑丈に拘束されていた。

「あはは、君ほどの暴君がまともに話を聞いてくれるとは思えないからね。
 僕にはいざとなれば伊織がいるけれど…彼に重労働はさせられないよ。 」

 "王子"は学長席にゆったりと腰をかけ、脚を組みながら右手に持ったティーカップを優雅にかたむける。

 そして、一口紅茶を飲むと、くすりと笑みを零した。

「…こ、ここまでして俺様に話したいことってなんだよ。」

「おや…。意外と素直なんだね。
 大暴れしたらどうしようかと思っていたくらいなのに。」

 "王子"は少しつまらなさそうに眉を下げた。
この状況で暴れられるか…。

「まあいい。さっそく本題に入ろう。
 
 君…学園では有名な"不良生徒"だよね。
 
 聞いた話だと…校則違反は当たり前。廊下で道を譲らなかった生徒の胸ぐらを掴んで怒号を浴びせたり…毎日のように他校の生徒と喧嘩。終いには未成年飲酒や喫煙もしている…。
 相違はあるかな?」

 "王子"は、小さい子供に絵本でも読み聞かせるような穏やかな声で、手元の資料を読み上げた。

「…ねぇな。」

「そう。」

 "王子"は驚く様子もなく、カップをソーサーに戻した。

「否定しないんだね。」

「あぁ。やったもんはやった。それだけだ。」

ふと、視線を向けると、控えていた執事が獲物を見る猛獣のような眼差しで俺を見ていた。

 ここに逃げ場はない。

「星々浦学園は、長い歴史と伝統を誇る名門私立学園だ。
 
 この学園の生徒たちは、「清く、正しく、美しく」という校風のもと、それぞれが希望を胸に、この場所で青春の日々を過ごすことを夢見て入学してくる。
 
だからこそ、生徒には1人1人、品性高潔、神童のように人々に愛を与えられる存在であることを学園は望んでいる。
 
——はっきり言おう。
 君は、この学園に似合わない。」

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