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クラスの人気者は、刹那の2時間を買い戻したい。

第5章 カラオケ

金曜の放課後。

『3Aカラオケ大会』

駅前のカラオケボックスのパーティルームが会場だった。

刹那はなぜかその建物の前に立っていた。

(……行くのか、行かないのか)

行かないなら、ここまで来ないだろ!

(行くんだな、刹那)

オレは店内に吸い込まれるように入店していた。

(ヤバい、帰りたい)

受付で部屋番号を聞いて、フロアの奥に進む。

ふと、喫煙ルームが目に入る。同時にパーティルームから莉子が出てきた。

「白瀬くん!」

オレは慌てて、禁煙ルームに逃げ込んだ。

「ちょっと、白瀬くん」

「ここは子ども立ち入り禁止だ」

刹那はニヤッと笑って、煙草を咥えて火をつける。

莉子は不貞腐れたようにドアの前で立ち尽くしている。

数分後。

「早く出てきなさいよ!」

刹那はしぶしぶドアを開けて廊下に出てくる。

「来てくれて嬉しい」

「あっそ」

(……帰りたい)

「……少しだけ顔出したら帰るから」

「それでもいいよ」

パーティールームの中は動物園状態だった。

ギャーギャーうるさくて、仲良しグループで盛り上がってる。

「飲み物何にする?」

「ビールで」

「……ごめん。ソフトドリンクしかないよ」

「ああ、そうか……じゃあ、烏龍茶」

聞いたことがある歌が流れている。

マイクを回して数フレーズづつ歌っている。

烏龍茶が届いた。

刹那は一口口に含んだ。

「はい、次どうぞ」

隣に座っていた女子からデンモクが回ってくる。

(えぇ、なに歌えばいいんだ……)

ってか、最近の歌は分からない。

悩みに悩んで、知っている曲を送信した。

しばらくして、リクエストした曲のイントロが流れ出す。

マイクを受け取り刹那は歌いだす。

♪~Careless Whisper

刹那が目覚めた時に最初に耳にした曲だった。

彼は完璧な英語のフレーズを静かに淡々と歌い切っていた。

無事終了。

すると、さっきまで動物園状態だったのが嘘のように静まり返っている。

「スゲー」
「カッコいい」
「あの人誰だっけ」
「白瀬刹那だって」

クラスメイト全員が刹那を見つめていた。

(……あれ、オレ外してた?)

そのあと、その場にいた全員からのスタンディングオベーション

刹那はクラス全員に認知された瞬間だった。

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