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SAKURA (さくら)

第7章 八重桜 3 本部長

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「本部長、おはようございます」

「あぁ美卯くん、おはよう」

「あの、例のタイアップ計画ですけど…」

「おお、どうした」

「はい……」

 ……それは、相手が更に、営業販路を広げたいと云ってきたそうで――

「それはすごいじゃないかっ」

「はい」

「一気にイキそうだな」

「はい、さっそくまた、来て欲しいって…」

「うん、いいな…」

「できれば、本部長も一緒にって…」

「あ、うん、わかった」

「明日からにでも…と」

「そうか、うん」

「はい…」

 奇しくも仕事は、予想以上に順風満帆に進み始めていた。

「これは、でかい成果になりそうだな」

「はい…」

 そして、美卯との関係も、進んでいくことになる――

「さっそく、準備したまえ」

「はい」

 こっちの成果も莫大に上がり…

 弥生もまた、順調に成績を積み上げていく。

 私はどうしても、弥生を部長に推し上げたかったのだ…

 多分、それは…
 
 せめてもの償いの後押しのつもり――

 その為には、この本部長というポジションを強固に、確固たる地位にする必要があり…

 そしてそれは、順調に進んでいる…

 いや、そう思っていたのだが――

「じゃ、私は、専務に経過報告をしてくるから…」

 季節は穏やかに移ろい…

 卯月、四月が終わり…

 間もなく皐月、五月を迎える頃――

 トントン…

 専務室のドアをノックする。

「どうぞ…」

 ドアを開けると…

「…………」

 何度となく…

 いや、さんざん嗅ぎ慣れた香りが、鼻腔を擽ってきた。

 それは、濃く、甘いシャネルの香り…

「お入りくださいませ…」

 その、甘い香りの吐息が浮かび――

 聞き慣れた、声音が…

「本部長サマ、どうぞこちらへ…」

 それは、あの夜の喘ぎを想起させ…

 呼吸が、止まってしまう――

「え、あ………」

 秘書の『皐月めい』が、にこやかな笑みを浮かべ…

 立っていた――



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