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SAKURA (さくら)

第2章 ソメイヨシノ 1  弥生


 弥生…


 あの人の、残り香が、変わった―――

 シャネルから…
 
「これは…
『ディオールサクラ』ですね」
 ふと、見つけた、フレグランス。

 それは…

 しだれ桜が、散りはじめ…

 ソメイヨシノが花咲き始めた、三月の終わりから…

『いよいよ、本部長に昇進が決まったよ…』

 朝食のコーヒーを飲みながら…

『四月の人事異動で、発表になるよ』

 あの人は、そう、機嫌よく言ってきた。

『そうしたら弥生もすぐに、営業部長に推すからさ…』

 わたしは…

 その話を、どこか遠くで聞いていた…

 そう…

 どうでもいい――と。



 花の下
 咲きては散ると
 知りながら
 なお見てしまう
 ひかりの奥を

 

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