アシスタントで来ただけなのに…!
第1章 鬼才漫画家、市川ルイ
「え?え?えぇ!?」
「これから面接じゃないんですか!?」
身を乗り出して声を上げた。
「書類を送っただろう。君は合格だ。僕のアシスタントになる」
あれで合格?たったの書類だけで?
とんでもない展開になってしまい、頭が混乱している。
私が練習していた面接の内容がどこかに行ってしまった。
「だが知りたいことは山ほどある。なので質問に答えてほしい」
先生は仰天しそうになっている私を気にもせず単調に進めていく。
「まずは君自身についてだ」
「私自身についてですか?なんでもどうぞ!」
改めて合格と知って、舞い上がる気持ちを抑えて先生の質問を待った。
本当は憧れの市川ルイの為に頑張ってきた今までのことを思い出して泣きそうになっていたが、今はアシスタントとして質問に答えていかなければならない。
と、身構えていると急に先生が身を乗り出して私の頬をむにっと掴んだ。
「んにゅ!?」
目の前に美青年の顔がある。
目のやり場にかなり困る。
「…なるほどな」
「にゃ、にゃるほどとは…?」
首を傾げることもできない。
すると、先生は私の顔を間近に見て満足したのか手を離してデスクの上に置かれていたメモ帳とペンを取り出して何かをメモした。
「あ、あの…何を書かれて…」
「ここまで来るのにどれくらいかかった?」
私の話はスルーして、先生は質問を続けた。
「えっと…家からだと大体1時間半です」
「1時間半…やはり近い距離を選んで正解だった」
先生は履歴書を見ながら続けた。
「ここに住んでもらう為には、近い距離の人を選んだ方がいいからな」
「す、住む!?」
私が声を上げると、先生は履歴書から目を離して私の顔を見た。
「君は僕のアシスタントになんだ。住んでもらわないと作品が作れない」
住んでじゃないと作れない作品とは?
そんな大作を作ろうとしているのか。
そんなことより、憧れの市川ルイと近い距離で仕事をするということに驚きと、嬉しさが溢れてくる。
「近い距離でお手伝いできるなんて光栄です!何か寮でもあるんですか?」
「いや、“住み込み”だ。ここに住んでもらう」
「こ、ここに!?」
このお化け屋敷に!?
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