
ほしとたいようの診察室
第10章 陽はまた昇る
ある日、光くんが「ピアノを弾きたい」と言ったときには、両親に掛け合って小学校でも使う鍵盤ハーモニカを持って来てもらっていた。
元基先生自身もピアノが弾けたようで、自宅から小さなおもちゃのピアノを病棟に持ち込むと、プレイルームで光くんと演奏を楽しんだ。
演奏する光くんは目を輝かせて、よりいっそう楽しそうだった。幼いながら大人っぽい光くんが無邪気に楽しむ姿は、珍しかった。
その様子を見た光くんの両親も、嬉しそうにしていた。
それは他の子どもたちにも良い影響を与えていく。
2人が楽しく演奏をしていると、子どもたちが集まって来て手拍子をした。
演奏していた『小さな世界』は特に好評だった。
それは、小児科病棟という小さな世界の中に、一筋の希望を持たせるような音色をしていた。
重度の障害を持つ子も、普段は病気で表情が乏しい子も、演奏を聴いている間は安らいだ表情をしていたのは確かだった。
週に数回ほど、そんな時間が訪れるようになり、小児科病棟の雰囲気は明るくなる。
働いている医師や看護師たちも、気持ちが癒やされていた。

作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える