
ほしとたいようの診察室
第10章 陽はまた昇る
覗き込まれて、吸い込まれるように目を合わせる。
何に震えているんだろうか、向き合ってしまうと、行き場を無くした右手が細かく揺れた。
陽太先生の匂いが濃くなる。
いつもの、柔らかい柔軟剤の匂い。大好きな匂い。
部屋中を満たしていた匂いが、大きな気配と共に近くなる。
それなのに、よりいっそう強く震え出した右手。
気づかれないようにそっと庇った。
すぐ目の前に、陽太先生の瞳が真っ直ぐとこちらを捉えていた。
高く通った鼻筋が、触れそうになる。
いよいよ緊張は強くなった。心臓が早鐘を打つ。
最も近くに、陽太先生を感じるのだった。
嫌じゃない、むしろ触れたいと思っていたのに。
どうして……。
どうしてか震えが止まらない。
ぎゅっと目をつむる。だが、震えは止まらない。

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