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第5章 帰るべき場所


『よぉ♪…大井ぃ♪』

相変わらず、懲りずに俺に絡んでくるこいつ。
恐らく退屈で仕方ないんだろう。

それでも、俺にはこいつの暇潰しに付き合ってる暇はない。

『てめぇよぉ!マジでムカつくな!』

「…」

『おぃっ!!…"Beast"だか何だか知らねぇけどよぉ!!生意気なんだよっ!!』

「…」

胸ぐらを掴まれた俺は、グッと拳を握り締め必死で耐える。
振り被ったのを視界に捉え、奥歯を噛み締めた。

久し振りに、殴られた。

看守「おいっ!!!!そこっ!!!!何してるっ!!!!」

馬乗りになられ、反対も殴られた。
抑え付けられたそいつはあっと言う間に連れて行かれて。

看守「お前も来い!!」

『あのぉ…その人。…やられただけで、手出してませんよ?』

看守「何っ!?」

『そうだよっ…その人必死で我慢してたんだよっ』

周りに言われた看守は俺をジッと見つめて来る。
俺は悪い事なんかしてねぇよ。
そう目だけで訴えた。

看守「分かった。とりあえず、詳しく話を聞くから、来い」

看守に連れられ個室に入った。

事の事情を聞かれ、素直に全部話した。
ここに来た時から目を付けられてた事も、全部。

「…でも。あいつの気持ちも、分かるんで。…俺みたいに。大事な奴でも居りゃ、あいつも我慢出来たでしょうね」

看守「…」

「俺は気にしてないんで。…出来れば、あいつ。見逃せないだろうから、軽く済ましてやってください」

看守「フッ(笑)……ははは(笑)!何でお前みたいな奴がこんな所に入ったんだよ(笑)」

驚き声が出なかった。
真面目に答えた上に、あいつを庇った事を声を上げて笑われた。

看守「…殴られて相手を庇う奴は初めてだよ(笑)……ま、あいつの事は俺にはどうにもならん。一応、話してはみるが」

「…はい」

看守「戻っていい」

「すいませんでした」

看守「刑期は変わらんだろうから、心配しなくていい」

「ありがとうございます」

部屋に戻り、手錠を外され室内へ。
『大井』と声を掛けられた。

さっきと違う看守。

看守「長いか?」

「…何がです?」

看守「刑期」

「そうですね」

看守「よく耐えられたな?」

「待ってる奴、居るんで」

やっぱり笑われた。

ドアを閉め鍵を掛けた看守が去っていく。
隣から『大丈夫か?』って声に『あぁ』とだけ返した。

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