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第3章 一歩前進


スーパーの駐車場に、勢いよく入ってきた侑くんの車。
『すいませんっチカさんっ』って慌てた様子が、事の重大さを知らしめる。

乗り込んだあたしたち。

「チカ」

智翔「ん」

「…あたし、部屋に帰るよ」

智翔「あ?」

「大丈夫っ…あたしには何も出来ないから。邪魔とかじゃなくてっ足手まといになると思うのっ」

智翔「…」

「ね?…大丈夫、ちゃんと待ってるから」

ジッと、あたしの本心を探ってる様だった。
だから真っ直ぐ見つめ返して大丈夫だと伝えた。

頭を撫でたチカが侑くんにマンションへ行くように言ってくれる。
『ありがと』って小さく呟いた。

「ありがとう侑くん。…チカ?気を付けて?」

智翔「フフ♪…分かってる。ドア絶対開けんな?誰が来ても」

しっかり頷いたあたしを確認したチカは、走り去っていく。

部屋までを一人で帰るなんて、今まで殆んどなかったから、やっぱり少し寂しく思う。

買い物した物を冷蔵庫に片付けて、一息ついて。
ソファで暇だなぁなんて思ったから、部屋中の掃除を始めた。

掃除ついでに、シーツやなんかも全部洗濯する。

全部終わったら夕方。

携帯を見ても連絡は来てなくて。
チカが帰ってきてもいい様に夕食を作った。

人を待つって、こんなに時間を長く感じるんだ…

なかなか帰って来ないチカ。

だんだん夜も更けて来ると不安になってきたから、何度も携帯を確認してた。

だいぶ遅くなって来た頃には帰って来ないんじゃないかと思い始めて、込み上げる不安と涙を何とか必死飲み込む。

玄関の物音に、あたしは無意識に駆け出してた。

だけどそれはただの物音。

落胆するあたし。

結局そんな事が何度かあって、繰り返す度に泣きそうになる。

朝方まで何の連絡もないまま。

"ガチャ…"

智翔「チエっ?」

玄関で膝を抱えて踞る様に座ってるのを見たチカが、慌てて腕を掴むと引き上げ抱き締めた。

智翔「チエ?ごめんな?遅くなった」

「…チ、カ…」

智翔「ごめんごめん」

「…ック…も、帰って来ない、かと…思っ…」

智翔「帰って来るよ…大丈夫…ごめんごめん」

チカの温もりに全身包まれて、あっさり涙を溢す。
あんなに泣きたくないって思ってたのに、今じゃ堪えても直ぐ溢れてくるから不思議だ。

リビングに連れられても離れないあたしをずっと抱き締めてくれてる。

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