
Restart
第15章 【番外編】最後の約束
「…父さん、母さん…おはよう♪」
朝起きて、リビングのカーテンを開けて。
真っ先に仏壇に線香を供え手を合わせる。
二人の写真が数枚飾られてる仏壇。
凄く…物凄く幸せそうに笑ってる母さん。
小さくだけど、優しく微笑んでる父さん。
母さんが死んで、脱け殻の様だった父さんが死んだのは翌年。
サエが中学に上がった年に、母さんの病気が見つかった。
既に、手の施しようがないって言われたんだ。
まだ母さんは50代だった。
だけど、母さんはいつも笑顔で。
涙なんか溢した事がなかった。
あんなに昔は直ぐに泣いてたのに…
いや。
分かんない。
泣いてたのかもしれない。
きっと…
父さんの前では…
最期は、本当に見てられなかった。
何度も何度も入退院を繰り返した母さんは、もう最期は父さんの傍に居たいって言ってた。
家に連れて帰って来た父さん。
亡くなる一週間前に、母さんはどうしても最後に行きたい場所があるって、父さんにお願いしてて。
何処だったのか、かなり後に父さんが教えてくれた。
智翔『…歩道橋』
『え……歩道橋?』
智翔『フッ♪…俺が、チエにプロポーズした、場所♪』
そう言って、幸せそうに笑ってたっけ…
その後、母さんはみるみるうちに弱っていき、声も耳を澄ませないと聞き取れないくらいだった。
亡くなる前…
母さんは弱く小さな声で。
知恵『…チ、カ…』
智翔『ん?…どした?』
知恵『…フゥ…あた、し…が、死んで、も…他、の人…好きに、なっちゃ、駄目…だよ?』
智翔『あぁ。チエしか興味ねぇよ♪』
知恵『フフッ♪…愛し、てる?』
智翔『愛してる。ずっと』
知恵『…目、閉じる、時に、ね?……最後…キス、してほしい…』
智翔『…フゥ…分かった。…分かった、から…』
そんな会話を、俺とアヤが聞いてた。
アヤはずっと、俺の背中に隠れて声を殺して泣いてた。
母さんは、そのまま…
数時間後…
父さんに、『愛してる』って言葉と、キスをしてもらって…
穏やかに微笑みを浮かべてる様な表情で、息を引き取った。
ショウさんが飛んできてくれて、父さんの姿を見て声を掛けられずにいた。
俺とアヤで何とか通夜と葬儀の準備をし。
チハルとサエも、必死で涙を堪えながら手伝ってくれた。
父さんはただ、ずっと母さんの傍で母さんの手を握ってた。

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