
Restart
第14章 【番外編】再会の話
初めてチエを抱いたあの日からずっと。
一度もゴムを着けた事はない。
チエとの想いが通じた時。
チエを抱きたいと思ってた。
当然の様に、チエが処女だろうって予測はしてた。
抱きたいと思った時から、もし抱けるなら直で感じたいとも思ってた。
ゴム越しではなく。
直にチエを感じたい。
例えそれで餓鬼が出来ても…
俺はそれさえも全部受け止める覚悟でいた。
だけどそんな思いはまだこいつに伝えるのはやめておこう。
恋愛経験のないチエが、ゴムとか生とか、分かる筈ないだろうし。
況してや妊娠の可能性なんて…
そう思ってたけど、結局俺はチエを妊娠させてしまった。
同時に流産まで…
そんな事を知らないチエ。
大丈夫。
俺は何があってもお前の傍に居る。
絶対に愛し続けるから。
仕事に就いた俺は、必死で働いた。
ミスを叱られても、耐えた。
たまに機嫌の悪い達也さんに八つ当たりされても。
勘違いの間違いで文句を言われても。
兎に角、俺はチエの『お帰り♪』が聞きたくて。
その笑顔を見たくて耐えた。
もう少し…
もう直ぐ、あの日が来る。
チエを初めて見掛けた日。
チエの為なら何だって耐えられる気がして、必死で働いた。
街の宝石店に何度も通い、チエに似合いそうな指輪を見つけた。
指輪は既にお揃いをしてる。
二つ着けても違和感ない物を探してた。
やっと見つけて、あの日を待ちつつ仕事に通う。
毎日幸せそうに笑うチエに、俺は幸せを貰ってる。
やっとその日。
俺はチエを呼び出した。
不思議そうな声に、顔が緩む。
反対側からチエの姿を確認して、ゆっくり上がっていく。
初めて見掛けた場所に立つチエ。
やっぱり何処か遠くを見つめてる。
その背中に声を掛けて、俺は背中に話し掛けた。
ゆっくり近付き、チエと向き合う。
「チエ?…………結婚しよ?」
僅かに目を見開いたチエ。
気付くかもしれないと思いながらのプロポーズ。
けど、チエはやっぱりチエで。
少しずつ、歪んでくチエの表情。
一粒零れた涙。
次から次へと溢れ出る。
涙を拭って、笑ったチエにキスをして。
抱き締めた。
瞬間、俺の背後で…
見知らぬ数人から聞こえた、控えめな拍手と小さな『おめでとう♪』の声。
腕の中で、チエが嬉しそうに笑った。

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