Restart
第1章 終わり…
背後からの声に、首だけ向けたら。
学ランを着た男の人。
見るからに真面目な高校生…ではない。
こんな都会のど真ん中にも、見ず知らずの他人を気遣う人が居るんだ。
知らなかった…
都会って…
いや、世の中ってもっと他人に無関心で、誰が何してようと気にしないんだと思ってた。
あたしはそれでも、彼に答える事なく視線を逸らした。
近付いて来る事はなさそう。
見下ろせば、車が行き交う車道。
他人だろうと迷惑だけは掛けられないから、車が途切れるのを待っていた。
『…ねぇって。………そんな高いとこに居たら……パンツ見えちゃうよ?』
「パッ…!!」
不覚にも…
彼のその言葉に、体のバランスを崩し…
何の準備もなく…
高架下に落ちて行く…
『…っぶね。………大丈夫?』
フワッと体の浮く感覚がして直ぐ、腰を物凄い力で掴まれる。
「……離して、いいですよ?」
『…え?……まさか、自殺?』
「…」
『そうなんだ?…ごめん、邪魔しちゃって(笑)』
「…」
『でもさ、俺の目の前ってのはやめてくんないかな?……他でやんなよ』
彼はそう言った。
楽し気に、笑って。
その小さな笑顔は、凄く可愛らしくて。
無邪気、とでも言おうか。
掴んだ腰をやっぱり凄い力で引き上げられた。
『ごめんね?邪魔してさ。とりあえず、ここは他人に迷惑掛けちゃうだろうから、他でやんなよ』
「………すいません」
何だろう。
普通、こう言う時って止めたりするもんじゃないのかな?
まぁ止められてもどうにもなんないけど。
『…ってか、軽いね?大丈夫?』
「………軽い?」
『あ。俺、智翔(チカ)ね?…あんたさ、超軽いけど…ちゃんと飯食ってんの?見た感じ俺と同じくらいだろ?成長期はちゃんと食わなきゃおっぱい成長しねぇよ?』
「…おっ///……いいです、別に。…もう、終わりなんで」
『あー…そっか、自殺すんならもう成長しなくていいもんな(笑)…まぁ、あんたがいいならいいけどねぇ♪』
そう笑って言う。
そして…
彼は、ゆっくり近付いて来ると…
ふわりと手を伸ばしてあたしの頭に乗せ。
『…んじゃね?』
ポンポンと、あたしの頭を撫で去って行った。
何だか…
とても不思議な感じ…
終わりにしようとしてたのに…
見知らぬ彼があまりに軽く受け流すから…
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える