
昭和回想録
第3章 誰よりも・・・。
俺と優子は逃げ出すように洗い場から出た。
お湯のせいもあるけど興奮さめめやらぬ二人。
はあ・はあ・・と息を切らしながらお互いに
顔を合わせ微笑んだ。
絞ったタオルでカラダを拭き、
そそくさに着替えをすまし
番台のおじちゃんからコーヒー牛乳を
2本買って急いで外に出た。
まだ息が荒い2人だが、笑顔が自然とでてきた。
この銭湯で先ほどまで行われていた秘め事の
エロスに満ちた表情とは全然違う。
優しい恋人同士のようだ。
俺は熱くなったカラダを冷ますために優子に
コーヒー牛乳を渡した。
「なぜコーヒー牛乳なの?」
笑って聞く優子に
「銭湯では定番なんだよ。」
と、わけの分からないことを言って切返した。
しかも飲み方までも教えてあげた。
「変なのー・・・」
2人並んで姿勢を正して、腰に手を当てて
豪快にコーヒー牛乳を飲む定番のスタイル。
「でも、凄く美味しい・・・」
たわいもないことに感動を見つけられる。
これも愛する二人だから感じられるひとときであろう。
よかった・・・。
優子と出会えて。
銭湯での余韻を感じながら優子と俺は家路へと急いだ。
来た時よりも、より一層密着した2人で。
素直に幸せを感じていた。
このまま永遠に続けと・・・。
