
TIME is MONEY
第5章 scene Ⅴ
片手で腰を抱き、空いた右手が頬を撫でる
まるで壊れ物を扱うような優しい手付きと、少し目を細めて俺を見つめる瞳
こんな、今までには1度もなかったゆったりした時間は変にドキドキしてしまう
いつもは性急にベッドに行って、当たり前だけど何の甘い囁きもない
ひたすら欲の吐き出しの為の行為でしかなかった
…だから俺も、貪欲に快楽を貪る事が出来てたんだ
「ねぇ、かず」
「なに…」
やたら優しい囁きに、喉が詰まったような声しか出せなくなる
ドキドキしすぎて普段の強気な態度に出れなくなる
“馬鹿か!“ って突き飛ばせは良いんだけど、いかんせん俺も今日はちょっとだけ発情してるのもあって、完全な拒否もできない
「…今日はさ、甘いセックスしてみない?」
チュッと雅紀の唇が軽く触れる
「……は?」
「んー、なんとなく?…恋人みたいな甘いのも楽しそうかなって」
どこか楽しそうな雅紀はいつもの雅紀で
「…お前、頭でも打った?」
だから俺も、少しドキドキが治まって来た
……はずだった
