
その男、溺愛注意報。
第3章 彼女
「彼とはバイト先で知り合って…初めて、好きになった人だったんです」
那美は
ポツリポツリと
紡ぎ始めた。
「クラスは違うけど同じ高校って知って嬉しくて…
彼女がいるって知ってても、彼に好きだと言われたら拒めなかった。
デートだってしたことないし、会ったら求められるのは体だけ。
彼が体目当てだって分かってるのに、それでも求められてるって嬉しくなっちゃって……
ほんと、馬鹿みたい。」
そう笑顔で言う那美は
自分の顔が今、
泣きそうになっているのを
分かっているのだろうか。
「今日一緒祝ってくれるって言われて一人浮かれちゃって。
彼女とデートだからってドタキャンされたのに……
まぁ、仕方ないんですけど…、元々わたしは、“そういう”立ち位置だから。
浮気相手っていうか、セフレみたいなもんだし。
でもわたし馬鹿だから……傍にいれるならそれでも嬉しいとか思っちゃって」
